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能化院(のうげいん/のうけいん)【宇治市観光】

能化院

宇治の木幡(こはた)に能化院(のうげいん/のうけいん)は建つ。二度の兵火を免れたという不焼地蔵(やけんじぞう)で知られている。

藤原道長の子・公卿の頼通(992-1074)の正室・隆姫女王(たかひめ じょおう、995-1087) が、地蔵尊に安産祈願したともいう。以来、安産・子安地蔵としても知られたという。(寺伝)

 1160年、後白河上皇(第77代)の近臣と源平対立が結びついた平治の乱の際に、前年、1159年、木幡一帯は武将・源義朝(1123-1160)によって全焼する。だが、地蔵菩薩像だけが救い出される。その後、第78代・二条天皇より不焼山能化院地蔵尊の号を贈られたともいう。(寺伝)
 鎌倉時代、1195年、鎌倉幕府初代将軍・源頼朝(1147-1199) により再興される。(寺伝)
 1221年、後鳥羽上皇(第82代)が鎌倉幕府討幕の挙兵をした承久の乱で、都へ攻めた北条軍により寺は火を放たれ全焼した。この際に地蔵尊は焼け残ったという。(寺伝)
 安土・桃山時代、天正年間(1573-1592)末年、創建されたともいう。
 江戸時代、1629年、本堂、庫裏が再建された。
 1664年、曹洞宗宗仙寺4世・長訓により曹洞宗として再興される。(寺伝)。この時、地蔵尊が遷されたともみられている。

 現代、1956年、地蔵尊修造に際して「焼山能化院地蔵縁起」が発見される。
 1977年、収蔵庫が竣工する。

◆延鎮 奈良時代-平安時代前期の法相宗の僧・延鎮(えんちん、?-821?)。賢心(けんしん)。大和・高野山真言宗の子島(嶋)寺の報恩に師事し、その没後、子島寺を継いだ。778年、行叡(ぎょうえい)と出遭い、京都・乙輪(音羽)山に移り庵を結ぶ。798年、坂上田村麻呂が同地に開いた清水寺の開祖になる。優婆塞(うばそく、仏教の在家信者の男子)様の修行者とされる。

◆地蔵 収蔵堂安置の鎌倉時代作の「地蔵菩薩坐像」(270㎝/135.5㎝)(重文)は、「不焼地蔵(やけんじぞう)」と呼ばれている。半丈六の地蔵菩薩坐像は、右手に錫状、左手に宝珠を捧げる。腹部の下衣に結び目があり、腹帯に見えることから腹帯地蔵ともいう。円頭光の光背、木造、寄木造、半漆箔。

 ただ、伝承として平安時代の作ともいう。長保年間(999-1004)、藤原道長が浄妙寺建立のために木幡を訪れ、この地の本願寺に宿泊した。夢枕に多聞天が立ち、寺に地蔵菩薩を安置せよという。道長は延暦寺横川の僧・恵心僧都(源信、942-1017)に命じ、地蔵菩薩像を彫らせ中興したともいう。造立は983年ともいう。
 地蔵尊は、二つの兵火を免れたため不焼地蔵と呼ばれている。平安時代、1159年、平治の乱では木幡一帯は源義朝によって焼き払われた。だが、地蔵菩薩像だけが救い出される。また、地蔵尊は独りで森に向かい、兵火より避難して無事だったという。(『山州名跡志』巻15)。このため、「やけずの地蔵」「やけん地蔵」と呼ばれる。逸話を伝え聞いたという二条天皇より「不焼山能化院地蔵寺」の号を贈られたともいう。その後、鎌倉時代、1221年、承久の乱では、都へ攻めた北条軍により火を放たれ寺は全焼した。だが、この際にも地蔵尊は焼け残ったという。
 平安時代、公卿・藤原頼通の正室・隆姫女王(995-1087) 、公卿・近衞基通(1160-1233) の正室・平完子(たいら の さだこ/かんし)が地蔵尊に安産祈願したともいう。以来、安産・子安の地蔵としても知られる。

◆浄妙寺 木幡には藤原北家一門の墓所があった。ただ、藤原道長の頃には荒廃していたため、道長により一門の権威の象徴として浄妙寺が建立される。1004年に工事が始まり、翌年1005年に法華三昧堂が建立され、本尊・普賢菩薩が安置される。その後も伽藍建立が続く。1027年、道長の遺骨もこの地に葬られる。1192年に寺は藤原家の手を離れ、延慶年間(1308-1311)に焼失、南北朝時代に廃絶したという。
 1967年、能化院の北東、御蔵山西麓の「ジョウメン寺」(木幡小学校付近)より三昧堂跡とみられる遺構が確認された。

◆石 境内に、牛若丸(源義経、1159-1189) と母・常盤御前(1138-?) が腰掛けたという石もある。




能化院情報とアクセスマップ

住所 〒611-0002 京都府宇治市木幡中村13
宗派 曹洞宗
創建年代 1664年(再興)
アクセス 【電車】

JR奈良線 JR木幡駅から徒歩3分(245m)

京阪電鉄宇治線で「京阪木幡駅」下車

能化院アクセスマップ


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